私は同性婚の合法化には賛成である。さらには、選択的夫婦別姓も合法化していただきたい。なぜなら私は、母親の再婚によって押し付けられた継父の「珍しいけどダサい」苗字が嫌だったからである。これが亡き実父の苗字であれば、多少ダサくても「まあ、そんなもんだろう」と受け入れていただろう。つまりは、私は継父を憎んでいるがゆえに、継父から押し付けられた苗字を好きにはなれないのだ(全国の同姓の方々に対して失礼ではあるが)。
それはさておき、仮に現実世界の日本社会で同性婚が合法化されたら、よしながふみ氏の漫画『きのう何食べた?』の世界観にも少なからぬ影響を及ぼすだろう。この漫画の主役コンビはゲイのカップルだが、その一方である「シロさん」こと
おそらく、史朗に対して下心を抱いて近づく「婚活男子」が出てくる可能性があるだろう。しかし、賢明な史朗はそのような「婚活男子」の打算を見抜いて、まともに相手にしない(少なくとも、相手に対して丁重に付き合いを断る)だろう。もし私が史朗の立場だったら、相手の金を目当てにした同性婚を目論む同性は嫌だな(もちろん、異性婚でも嫌だが)。そして、この漫画の世界観で同性婚が合法化されたら、史朗は最終的に彼氏(もう一人の主人公)の
話を現実世界における同性婚の合法化をめぐる議論に移すが、ある男性政治家は自らが同性愛者でありながらも、同性婚の合法化に対しては反対派だった。それに対して、私はこう邪推した。
「この人、自分が有力者の『娘』と政略結婚したいから、あえて同性婚の合法化に反対してるんじゃないの?」
同性愛者やトランスジェンダー当事者などの性的マイノリティーの人たちの存在や人権問題について考えるのは、君主制を筆頭とする「世襲制」全般に対する疑問につながると、私は思う。なぜなら、世襲制とは「子孫繁栄を前提とする」異性愛を基準にした制度であり、それから外れる性自認や性的指向の人たちを、さらには障害者や不妊症の人たちなどの「健康弱者」を差別する根拠だからである。「事実上の皆婚制度」だった時代でさえ、重度の障害者やその他「いわく付き」の人たちまでも結婚出来たのではないのだ。
しかし、世の中には少なくとも、わざわざ世襲制にする必然性がない立場や職業は色々とある。いわゆる「家父長制」に対する批判だって、最終的には出自に基づく差別に対する批判につながるのだ。「家父長制」とは「男性のブランド化」であり、それゆえに「ブランド」としての価値がないと見なされる「弱者男性」をも苦しめるものである。
世の中には「男性差別は存在しない」と断言する「自称フェミニスト」たちがいるが、実際には「白人差別」と同様に「男性差別」は存在する。しかし、男性の「女性差別」が美女や才女などの好条件の「強者女性」をも対象とするのに対して、女性の「男性差別」は前述の『きのう何食べた?』の史朗のような好条件の「強者男性」をも対象にする事態は稀である。つまりは、多くの女性たちにとっては、好条件の男性をわざわざ「男性差別」の対象にする意味がないからである。
それにしても、世間一般にある様々な差別について考えるのは、実に難しい事態である。「個人の好き嫌い」として許される価値観と、「社会悪」としての差別との線引きが難しいのだ。
前述の通り、『きのう何食べた?』の主役コンビはゲイのカップルであるが、彼らは「性的マイノリティーである」という点以外は特に致命的な弱点はない人たちであり、決して「弱者男性」ではない。むしろ、下手なシスジェンダー異性愛男性よりもよっぽど「強者男性」である。日本国内のゲイコミュニティにおいては「新宿二丁目に捨てるゴミなし」という言葉があるらしいが、それはゲイ男性たちの「好みのタイプ」が異性愛男性のそれよりも多様性があるゆえに、異性愛業界ではモテないタイプの男性にも、ゲイコミュニティではパートナーが見つかる可能性があるという意味なのだ(ただし、レズビアンやバイセクシュアル・パンセクシュアルの女性にも同様の事が言えるのかは、部外者である私は全く知らない)。
しかし、世間一般で「弱者男性」並びに「弱者女性」と見なされるような資質や立場の人たちは、異性愛業界のみならず、同性愛業界においてもまともに誰かに相手にしてもらえる可能性が低いだろう(特に女性は)。私が昔、近所のブックオフで購入した某レズビアン雑誌には「文通コーナー」があったのだが、それにある一連の友達・パートナー募集の投稿においては、無職の女性は避けられていた。つまりは、仮に将来の日本社会で同性婚が合法化されても、「弱者男性」並びに「弱者女性」にとっては、異性婚も同性婚も「高嶺の花」なのである。
余談だが、ある50代男性が結婚相談所に入会して「20代女性と結婚したい」と希望を述べたら、相談所側から「20代の障害者女性」ばかりを紹介されたという話を、私はあるYouTube動画のコメント欄で読んだ。その「障害者女性」たちの障害の種類や程度はまちまちだろうが、必ずしも本人の意志で結婚相談所に入会したとは限らない。むしろ、自分自身の意志を無視された結果である可能性すらあるのだ。
多分、その女性たちの親御さんたち(並びに、それらに準じる保護者たち)は、その結婚相談所を姥捨て山ならぬ「娘捨て山」にしたつもりなのだろう。
【ARIA - Departure feat.AK-69】
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